【アニメの雑学】"Let It Go"から日本とアメリカの考え方の違いが分かる
大ヒットしたディズニー映画「アナと雪の女王」の主題歌としておなじみの『Let It Go』。
この歌の本家の英語版と翻訳された日本語版では、やや意味が異なっています。この点について少し掘り下げて考えてみたいと思います。
まず英語版ですが、日本語版と比べ、歌い手(映画の中では主人公の一人であるエルサ)の感情表現がストレートで激しい印象があります。
「感情を抑えなければ。皆に知られてはいけない」というこれまで抱えていた信念を歌った後、「でも、知られてしまった。それでもかまわない」と、開き直りとも受け取れる歌詞となっています。
「let it go」という成句は、厳密にいえば「ありのままで」という意味ではなく、「放っておこう」とか「そのままにしておきなさい」という意味で、この歌の中では、自分の秘密を皆に知られてしまったけれども「別にかまわないわ」と言っているわけです。
さらにその後も、「周りが何と言おうが気にしない」、「嵐は吹き荒れればいい」など、エルサがこれまで抑圧してきた自分の個性を発揮したいという強い自己主張を読み取ることができます。
一方、日本語版では「誰にも打ち明けずに悩んでた」ことを「やめよう」と歌われます。
また、英語版で「周りが何と言おうが気にしない」の箇所は「何も怖くない」となっており、「嵐は吹き荒れればいい」の箇所は「風よ吹け」となっているなど、感情表現が英語版と比べ控えめに抑えられている印象を受けます。
ここから見えてくるのは、米国(およびその他の英語圏の国々)と日本の文化の差異です。
米国では自己主張をすることが重視され、また評価もされます。一方日本では伝統的に周囲との調和が重視され、自己主張があまり歓迎されない傾向にあります。
このため、英語版ではこの歌の中で強い自己主張をするエルサが歓迎され、日本語版では、「誰にも打ち明けずに悩んでた」ことをやめた(けれども周りとの調和を乱さないやや控えめな)エルサが歓迎されたのだろうと思います。
もし英語版の歌詞の意味をそのまま日本語版に反映させていたら、鑑賞した日本人の中には「自分勝手」とか「生意気」というようなネガティブな評価をする人が多くいたかもしれません。
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